2010年7月8日木曜日

イギリスの社会学者との会話

 一昨日ロンドンに着き、昨日はロンドン大学ゴールドスミス・カレッジに研究室設定のために出向いた。ご存じのように、このカレッジは、文化研究における世界の研究拠点のひとつであろう。社会学も35人以上のファカルティを擁している。ただ、今イギリスの大学も財政的に苦しく、多方面でバジェット・カットが行われている。
 数年前教える必要はなく、研究面で貢献することを条件にこの大学に移動してきたKM教授と話した。彼もこれ以上条件が厳しくなれば、元の大学に帰ることを考えているという。財政難の上に、研究成果も含めて厳しい評価の下に置かれている。日本を発つ前に、イギリス社会学雑誌の事務責任者から、海外アドバイサリーボードメンバーの私に、一通のメールが届いた。この雑誌の評価が昨年よりもずっと良くなったとの喜びの報告メールだった。文面から喜びの感情が溢れていた。ことほど左様に、研究は財政難と厳しい評価の狭間にあるといえよう。
 そのような中、KM教授によれば、欧米以外の社会や文化に対する関心が高まっているという。この点で、2014年の世界社会学会議の横浜開催はタイムリーだと評価された。こちらから多くの分野で日本、韓国、中国、台湾など東アジア社会学の交流が盛んであることを説明すると、大きな関心を示してくれ、2014年に向けて彼の研究分野において東アジアとの交流を強化するために協力を求められた。とりわけ中国への関心は相当なものがあるように感じた。
 中国社会学会会長のリ・ペイリン教授によれば、中国においては、山積する社会問題解決のために社会学への要請が強まっているという。このような内的動向とパラレルな形で、中国社会学に対する関心はヨーロッパでも高まっているように思う。
 以上のような動向をしっかり見据えて、2014年の横浜大会は組織されてゆく必要があるだろう。もちろん、日本社会学の総括と、海外への輸出を怠ることなく。相当の頑張りが要求される。それを楽しみながらやっていくことにしたい。(sy)

1 件のコメント:

  1. どこもバジェット・カットで悲鳴を上げているのですね。今度の大会でも、隠れた主題は、バジェット・カット問題と社会学のサバイバル問題かもしれません。(は)

    返信削除