2010年7月13日火曜日

英語があまり得意でないので、なかなか楽しめません————世界社会学会議を楽しむためのアドバイス

Q. 正直、英語があまり得意でないので、なかなか楽しめません。参加していると、つい落ち込んでしまいます。

A. 社会学は言語の負荷が高いので、事実上国際会議の共通語といえる英語の聴取能力やスピーキング力に、コミュニケーション力が大きく左右されることは否めません。もっと英語に強かったら、と悔しい思いをするのは、多くの日本人に大なり小なり共通の悩みです。

 でも世界中から報告者が集まっているので、英語のレベルもさまざまです。

 いい研究なのに、英語が貧弱で損をしているのは、日本人だけではありません。南欧や南米の人たちも苦労しています。アジアの人も、アメリカやイギリスでPh.D をとった人を除くと、苦労が多いようです。どういう英語が聞きやすいのか、どういう英語が聞きにくいのか、を考えてみるのもいいことです。

 最近はパワーポイントを使用することが多くなったので、理解はだいぶ進むようになりました。メモや原稿を読む報告もありますが、一般には、パワーポイントを使用しない報告は、聴衆にわかってもらおうという努力が足りなかったり、準備不足の場合が多いようです。

 世界社会学会議のRCの各報告は玉石混交です。レベルの低い報告もあります。

 どんな報告を聴いても、自分が理解した範囲内で、各報告ごとに自分が、reviewerや指導教員になったつもりで採点してみるのも勉強になります。1)問題設定はクリアーか、2)研究方法を明示しているか、3)的確な方法を用いているのか、4)データは十分か、5)概念規定は明確か、6)結論は明確か、7)オリジナリティはどの程度あるか、8)研究の限界をどのように自覚しているか、9)この研究から自分が新たに学んだことは何か、これらを問いかけてみましょう(このような観点から、自分が質問してみるのもいいことです。細かなコメントは難しくても、確認的な質問はしやすいものです)。

 つまんない報告だと思ったら、つまらなさの原因やどうすればもっと面白い研究になるのかを考えてみましょう。

 質問についても、これはいい質問だとか、いい答えた方だとか、自分が理解する範囲内で採点することができます。質問がたくさん出る報告は、刺激的ないい報告だったといえるでしょう。

 部会全体としても、部会のねらいがどの程度実現できたか。chair の運営の仕方などを採点してみましょう。途中から退席する人が増えるようだったら、部会は成功とはいえません。他方で、盛り上がらない部会を盛り上げるための、chair の涙ぐましい努力などにも、注目しましょう。(は)

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