2010年7月22日木曜日

今後の予定——The second forum of Sociology など

 4年後の世界社会学会議は、2014年7月13日(日)から19日(月)まで、パシフィコ横浜を会場に開かれます。
 2012年には、The second forum of Sociology が開かれます(開催地は未定です。パリの予定でしたが、あらためて選考し直すことになりました)。各 research committee は、4年間の間に少なくも1度は、regional conference を開かねばならないことになっています。forum of Sociology を regional conference として活用することもできますし、別な場所で、独自に、regional conference が開かれることもあります。各 research committee の news letter に注意しましょう。(は)

リピーターになるために

 世界社会学会議ヨーテボリ大会も無事閉幕しましたが、世界社会学会議との関わり方には大別して幾つかのパタンがあります。

・「食わず嫌い」(国内学会のみに参加する方。アメリカ社会学会会員の場合にもこういう方が多いです)
・「一見(いちげん)さん」(一回だけ報告・参加して終わりになる方)
・「リピーター」(常連になる方)
 今回参加された方には、是非リピーターになっていただきたいと思います。

 「リピーター」になると、知り合いができ、ディナーに誘われたり、session の organizer = chair を頼まれたり、共同研究に誘われたり、寄稿を頼まれたり、別の会議に招待されたり、research committee の board member に選ばれたり、……と研究の世界がどんどん広がっていきます。各 research committee の business meeting にも是非出席するべきです。
 国際的視野から自分の研究の強みや特徴、弱点などを検討し、位置づけ直してみることは、とてもいいことです。日本人研究者としては、自明に思っていたことが、国際的には新鮮に受け止められるというようなこともあります。
 英語の壁、日本人の名前が覚えてもらえにくい、などハンデは少なくありませんが、世界社会学会議のような大きな国際会議には独得の高揚感と刺激があります。
 ヨーテボリ大会を機に、そして横浜大会を機に、1人でも多くの日本社会学会会員が、世界社会学会議のリピーターになり、各 research committee で活躍されることを期待してやみません。(は)

2010年7月21日水曜日

要約集とプログラム集


 4年後の横浜大会の課題はいろいろありますが、印刷した冊子体のプログラム集を配布するかどうかも、思案のしどころです。写真は今回登録の際に配布されたプログラム集とアブストラクト集です。プログラム集は、厚さ20mm、重さ 950g 。アブストラクト集は、厚さ33mm、重さ 1580g 。合計 2530g 。いずれも同じ情報は、オンラインでも提供されています。4年後は、電子化がさらに進んでいるのではないでしょうか。(は)

2010年7月20日火曜日

横浜大会をアピールし閉幕

世界社会学会議ヨーテボリ大会は7月17日に予定どおり閉幕しました。最終日には新会長に選出されたMichael Burawoy の挨拶に続いて、日本社会学会の矢澤修次郎会長が、次回2014年横浜大会の開催の意義などについて、会場のパシフィコ横浜と林文子横浜市長のビデオをまじえて、約15分間スピーチを行いました(以下は You Tube 版に編集したもの(8分55秒))。(は)

2010年7月18日日曜日

いろいろな研究者と絶えず話をすることの重要性

 閉会式も終わり、今は今大会の余韻を楽しんでいるところです。
 さて、はじめて国際会議に出てから40年以上が経ってしまいましたが、先輩に教えられたことの重要性を今でも噛みしめることがよくあります。今大会もそうでした。
 それはなんでも良いから、研究者をつかまえて話をすることが国際会議で最も重要なことの一つだということです。
 たとえば朝食事をする時、一人で食べないで必ず他の参加者と話をしながら食べることが大切だと思います。相手が、タイの研究者だったら、タイの大学事情が聴けますし、他の研究分野の情報も得られますし、友達になってその後長く交流が続くこともあります。
 研究部会でも勇気を出して質問すると、国際会議が一層身近なものになります。英語がそれほど上手でなくても、研究者ですから真剣に聞いてくれます。そうして部会に溶け込めば、自分の報告の時にも必ず他の参加者が質問してくれるようになります。そうすれば、国際会議に出席して収穫があったと言えるようになるでしょう。なにも質問が出なければ、それこそ出席は、かなり意味がなくなってしまうでしょう。
 休憩時間でも、室内や廊下で他の国の参加者と気軽に会話するフットワークがあったほうが良いでしょうね。先輩はそれを「廊下トンビ」といって推奨してくれました。
 今回日本から200人を超える参加者があったということですが、とりわけ若い参加者が「廊下トンビ」になって、徐々にコミュニティの一員であるという意識を獲得して、それぞれの専門部会で活躍することを望んでやみません。(sy)

2010年7月16日金曜日

報告時間を守るには



 報告時間を守ることは、もっとも基本的な報告のマナーの一つです。
 社会学の場合、国際学会の研究報告は15分が標準です。世界社会学会議はどたキャンが少なくありません。その場で、20分になったり、12分になったりすることもあります。あらかじめ、12分バージョン、15分バージョン、20分バージョンと3とおり用意しておくと、どんな場合にもあわてません。+2分以内が許容範囲でしょう。2分以上もオーバーするのは、マナー違反です。

 時間を守る秘訣は、何よりも、十分、練習することです(時間を守る報告は、十分に
練習してきたことを示しています)。
iPhone には、デジタルの見やすいストップウォッチ機能が付いています。月曜のプレナリーでアレグザンダーも使っていましたが、筆者も愛用しています(司会の際の、タイムキープにも最適です)。
 スライドの枚数に応じて、ここまでで3分、ここで5分、ここが10分、これで12分、15分などと目安を付けておきます。本場ではズレてきますので、ストップウォッチを見ながら、時間調整をしましょう。

 用意したスライドをすべて紹介しようとしたり、スライドの文字を読み続けようとすると、時間不足になります。時間が足りなくなったら、適宜、I would like to skip this slide (part). などと言いながら、適宜スキップしたり、文字を読まずに、like that. とか、look at this point. とか言いながら、適宜流すと、時間内におさめることができるようになります。

 conclusion のスライドは、少なくとも1分ぐらいかけて、ゆっくり目にまとめると、余裕があるように見えて、説得的です。途中は少し急いでも、入りと終わりがゆったりしていると、聞きやすいものです。

 万一時間が超過したら、This is my last slide.と言ったり、I left two slides.と言ったりして、あとどれぐらいで終わるのかを、司会者や聴衆向けに告げると、みんな安心できます。

 時間を大幅に超過する報告に限って、要領が悪く、何を言いたいかがわかりにくいものです。

 詰め込みすぎない。入りと終わり、大事なところを丁寧にやることも、時間内にまとめるコツです。冒頭の research question と conclusion の関係を十分に考えましょう。そうすれば、時間内にまとめることは難しくありません。

 初日のプレナリーは、Manuel Castells (写真上)や Suskia Sassen (写真右)など、大物ぞろいでしたが、全員時間を守っていました。さすがですね。(は)

ポインタの効果的な使い方

 パワーポイントを使った報告で欠かせないのがポインタ。
 ポインタでずっとスライドの文章を追おうとする報告がありますが、考えものです。
 ポインタを横に動かすと、どうしても揺れます。落ち着きませんし、うるさい印象を与えます。ずっとさし続けると、強弱がつきません。

 むしろ、ポインタは、キーワードや大事なデータ、地図上の場所を示すなど、大事なところでだけ使いましょう。横に動かさずに、確信をもって、1点をしっかり指し示す方が、cool です。
 勝負所では、丸く動かすのも効果的ですが、むやみにはやらないようにしましょう。

 最近は緑色のポインタも増えました。環境関係の報告をする際は、This is a real green technology. などとジョークも言えます。(は)

ヨーテボリ橋めぐり——ちょっと一息

 街歩きも、国際会議の楽しみの一つです。韓国の友人に勧められて、つかのまヨーテボリ橋めぐりなどのボートのツアーを楽しみました(45分間、140クローネです)。運河の橋を20くぐります。もっとも低い橋をとおる際は、椅子から降りて、体をかがめてとおり抜けます。そして港へ。ヨーテボリがどんな街なのか、港町ならではの魅力を体感するのにオススメです。

 左はヨーテボリ市立博物館。バイキングや東インド会社など、ヨーテボリの歴史を概観させます。
 こちらはヨーテボリ駅。どの街でも、駅はもっとも人間臭いポイントの一つです。古い駅舎の外観を活かしながら、使っています。ヨーテボリのシンボルです。おっと、急いで会場に戻らねば。(は)


 

日本からは205名が登録

 15日(木)朝現在で、登録参加者数は4981人と発表されました(12日の5571人は、ゲストや1日だけの参加者なども含めた人数とのことです。訂正します)。
 国別のデータで、日本は205名が登録しています(6番目に多い)。2006年のダーバン大会時点で、200人の参加を目標にしていましたので、ちょうど目標達成です。一安心。若い参加者も多く、Japan Night で手伝えることはありませんか、という声もありました。
 国別登録者数のベスト10は以下のとおりです。地元 Sweden と Brazil, Australia 以外は、Russia (111名が登録)をのぞくG8と対応します。(は)

USA 512
Germany 423
UK 397
Sweden 302
France 231
Japan 205
Italy 195
Brazil 185
Canada 176
Australia 162

2010年7月15日木曜日

日本の夕べ

 遅くなりましたが、「日本の夕べ」の写真をお送りします。
 下の写真は集まった人々の一部です。



 集まった人々に長谷川先生は日本や横浜のことを紹介しました。日本は物価が高いというイメージがありますので、長谷川先生はミネラルウォーターの瓶を示して、日本では1ユーロで買えますよとアピールしました(ヨーテボリでは2ユーロ(スウェーデン・クローネからの換算で)以上します)。会場から歓声が上がりました。
 長谷川先生、本当におつかれさまでした。

ヨーテボリの美しい街並み



ヨーテボリは、人口約50万人。首都ストックホルムに次ぐ、スウェーデン第2の都市です。英語では、 Gothenburg (ゴーテンバーグ、ゴート人の街の意味)。「ヨーテボリ」はスウェーデン語に近い表記です。17世紀から19世紀にかけて、貿易港として栄えた街のようです。かつての繁栄をしのばせる落ち着いた街並みが続きます。日本社会学会企画の会場(ヨーテボリ大のキャンパス)から、主会場の国際会議場まで、徒歩で約25分間の道のりですが、なかなか楽しめました。ユーモラスなジーンズ・ショップの広告もありました。下は、格調高いヨーテボリ大学の本部です。(は)

ベックやアレグザンダーもコメント——日本社会学会企画


 13日午後には、National Association としての日本社会学会企画、Society and Sociology in Japan/East Asia: Sociological Theory, Thoughts, Behavior and Social Body が開催されました。油井清光氏や西原和久氏が中心になって企画したものです。油井氏が司会、西原氏、中村則弘氏、倉島哲氏が報告。討論者はKim Seung-Kuk(韓国・釜山大学教授)、Chang Mau-Kuei(台湾・中央研究員、前台湾社会学会会長)でしたが、特別ゲストとしてJeffrey Alexanderが登場(上の写真右)、日・韓・台の研究者が登壇したこのセッションの意義を高く評価し、西欧世界の文化的多元性を身振り手振りでコメント。Ulrich Beck(下の写真)は西原報告に対して、グローバルな枠組みで考えることの意義を強調しました。Scztompka(ISA元会長)も臨席という超豪華な顔ぶれでした。(は)

2010年7月14日水曜日

横浜大会への質問が続々!

 大盛況のジャパン・ナイトでしたが、出席者からの代表的な質問は以下のようなものでした(()が解答です)。
1)横浜は東京からどれぐらい近いのか、電車はどれぐらいの頻度であるのか(電車で30分、頻度は数分おき)
2)本当に安いのか(牛丼やビッグ・マック、うどんは4ユーロで食べられる。寿司は7ユーロぐらいから。ベジタリアンなら6ユーロぐらいから)
3)ホテル代は幾らぐらいからの幅があるのか。もっと安いホテルはないのか(1泊4000円台のユースホテルや安い旅館から、ビジネスホテルは8000円台、高いのはシングル1万6000円台など)
4)組織委員会は、横浜の大学の人たちが中心ではないのか。横浜の地元の大学はかかわらないのか。横浜の大学の先生の研究が知りたい(Bid上での開催協力校は東大だが、地元の横浜国立大なども協力予定。横浜に関する研究も紹介したい)
5)鎌倉、富士山、京都、広島などへの横浜からの所要時間〔人気が高いのは京都・広島でした〕
6)Nikkoは地名? ホテルや会社の名前?〔海外では JALの Nikko Hotel が有名なためか〕(栃木県の日光を説明)
日本に一度来て見たかったけど、これまで来る機会がなかったという方が多いようです。横浜大会への関心の高さがわかって一安心。(は)

ジャパン・ナイト大盛況


 昨夜8時から10時までジャパン・ナイト・フォー2014yokohamaが開催された。

 会は200人以上が参加し、大盛況だった。ISAの理事をはじめとして、日本人参加者の友人も加わって、いくつもの会話グループができ、横浜大会への関心の高さをうかがわせた。

 長谷川委員長は、法被を着て、日本の物価は決して高くはないことを説明するなど大奮闘。またパシフィコ横浜、ICSコンベンションビューロー、JTBから派遣され、横浜大会に関する宣伝活動を担ってくださっている職員の方々も、浴衣姿でサービスに当たってくださった。

 多くの出席者が楽しんでくださった姿を目の当たりにすると、この4年間で多くの人々の期待に応えるために頑張らなければという思いが自然に湧いてきた。大変なことだと思うが、それを楽しんでやっていけたらと思う。(sy)

2010年7月13日火曜日

Jeffrey Alexander

 今日のPresidential Sessionで、イェール大学のJeffrey AlexanderはM. Dogan Foundation Prize in Sociologyを受賞しました。下はその受賞スピーチの一部です。(豚)

英語があまり得意でないので、なかなか楽しめません————世界社会学会議を楽しむためのアドバイス

Q. 正直、英語があまり得意でないので、なかなか楽しめません。参加していると、つい落ち込んでしまいます。

A. 社会学は言語の負荷が高いので、事実上国際会議の共通語といえる英語の聴取能力やスピーキング力に、コミュニケーション力が大きく左右されることは否めません。もっと英語に強かったら、と悔しい思いをするのは、多くの日本人に大なり小なり共通の悩みです。

 でも世界中から報告者が集まっているので、英語のレベルもさまざまです。

 いい研究なのに、英語が貧弱で損をしているのは、日本人だけではありません。南欧や南米の人たちも苦労しています。アジアの人も、アメリカやイギリスでPh.D をとった人を除くと、苦労が多いようです。どういう英語が聞きやすいのか、どういう英語が聞きにくいのか、を考えてみるのもいいことです。

 最近はパワーポイントを使用することが多くなったので、理解はだいぶ進むようになりました。メモや原稿を読む報告もありますが、一般には、パワーポイントを使用しない報告は、聴衆にわかってもらおうという努力が足りなかったり、準備不足の場合が多いようです。

 世界社会学会議のRCの各報告は玉石混交です。レベルの低い報告もあります。

 どんな報告を聴いても、自分が理解した範囲内で、各報告ごとに自分が、reviewerや指導教員になったつもりで採点してみるのも勉強になります。1)問題設定はクリアーか、2)研究方法を明示しているか、3)的確な方法を用いているのか、4)データは十分か、5)概念規定は明確か、6)結論は明確か、7)オリジナリティはどの程度あるか、8)研究の限界をどのように自覚しているか、9)この研究から自分が新たに学んだことは何か、これらを問いかけてみましょう(このような観点から、自分が質問してみるのもいいことです。細かなコメントは難しくても、確認的な質問はしやすいものです)。

 つまんない報告だと思ったら、つまらなさの原因やどうすればもっと面白い研究になるのかを考えてみましょう。

 質問についても、これはいい質問だとか、いい答えた方だとか、自分が理解する範囲内で採点することができます。質問がたくさん出る報告は、刺激的ないい報告だったといえるでしょう。

 部会全体としても、部会のねらいがどの程度実現できたか。chair の運営の仕方などを採点してみましょう。途中から退席する人が増えるようだったら、部会は成功とはいえません。他方で、盛り上がらない部会を盛り上げるための、chair の涙ぐましい努力などにも、注目しましょう。(は)

2010年7月12日月曜日

出席者は5500人を超えた!


 いよいよ始まったヨーテボリ大会ですが、本日午前の時点で出席者は5571人を超えています。お昼に会った旧知のT さんは登録が完了しておらず、今日ここに来て昼前に登録したら、5571番の名札をもらいました。全体の参加者は最終的には6000人に近づくようです
 横浜大会のプロモーションのコーナー(写真左)も人気です。昨日のレセプションでは280人ぐらいがアンケートに答えてくれました。横浜大会の資料を持ち帰る人も大勢います。
 〔12日時点では、登録参加者数は5500人を超えた!という記事にしておりましたが、ゲスト参加者や1日だけの参加者分を含む数字ということで訂正します。7月14日朝に、登録参加者数は4981人と発表されました。7月15日の記事を参照ください〕(は)

開会式

 会場のSvenska Massan。大きな会議場で、写っているのは裏の入り口です。











 この会場で11日の4:30から開会式が行われました。開会式で国際社会学会会長のMichel Wieviorka等が挨拶しました。
 写真は現地の組織委員会会長のUlla Bjoernbergです。










 女性コーラスのTETRAのパフォーマンスで盛り上がりました。










(豚)
 

2010年7月11日日曜日

機内預け荷物がない!(対処法)

 飛行機の旅で2番目に悲劇的なことは、到着先の飛行場で、機内預け荷物が受け取れないことだ。ついに7月9日、わが身に起こってしまった。成田で預けたトランクがヨーテボリの空港で受け取れなかった。すぐに baggage claim に。前便とあわせて10人ぐらいが待っている。コペンハーゲン空港からヨーテボリの便(SAS、スカンジナビア航空)は、100人ぐらいの乗客だったが、8個ぐらいの荷物が受取り手がないまま、テーブルを回っている。受け取れない人と、受け取り手のない荷物から推測すると、スカンジナビア航空の場合には、1割近い確率で、誤送が頻発しているようだ。
 tracing system で確認したら、コペンハーゲン空港からオスロ空港に運ばれていた。最終的には翌日の夕方にホテルに届いたが、成田では正しく、コペンハーゲン空港経由でヨーテボリ空港着のタグが付けられていたことが確認できた。乗り換えの空港で、誤送が起きたのだ。

 教訓1:スカンジナビア航空のような会社の場合には1割近い確率で機内預け荷物の誤送が起きており、荷物の到着が翌日夕方になるという事態が生じることもあらかじめ旅程の中に織り込んでおくべきだろう。研究報告の資料だとか、本当に大事なものは、機内預け荷物に入れるべきではない。着替えなども1日分ぐらいは、用心のために手持ちすべきだろう。

 教訓2: baggage claim ではホテルに届けると言われるが、空港止めにして自分で取りに行くようにした方がてっとり早い。今回、tracing system で確認すると、私のトランクは、9時05分着のフライトで、ヨーテボリ空港に届いていたが、15時から19時の間にホテルに届けるという連絡がホテルに入って、実際にホテルに着いたのは 18時20分だった(人口50万人程度の街なのだが。空港止めにしていたら、10時前には受け取れただろう)。日本の宅配便のようなサービスのレベルを期待してはいけないのだ。

 教訓3 : 現在はどの航空会社も、ネット上に、遅延荷物の tracing system のページがあり、baggage claim でもらった追跡番号で、自分の荷物が今どこにあるのか、見つかったか否かなどをチェックできる(今回も スカンジナビア航空からはホテルに10日の12時40分に15時以降届けるという連絡が入っただけだった)。10日早朝の段階で、オスロ空港で見つかったことをネット上で確認できたので安心できたが、自分で、tracing system を活用するしかない(ホテルのゲスト・サービスもそこまではやってくれない)。

 どの航空会社も、航空機不況の中で合理化を迫られているから、今後ますますこうした機内預け荷物が届かないという事態は頻発するだろう(とくに乗り換え便の場合)。結局、できるだけ自衛するしか方法はないようだ。1度こういう目にあうと、機内預け荷物を空港のターンテーブルで見つけてはホッとするという思いを繰り返すことになりそうだ。

 ともかくスカンジナビア航空のような会社の場合には1割近い確率で日々誤送が起きており、それに関する特別なサービスは何もないのだ。航空会社にとっては日常的なトラブルの一つなのだ。(は)

いよいよキックオフ:WCSはWorld Cup of Sociology!


 7月11日(日)、4年に1度の世界社会学会議もいよいよキックオフ(左下の写真は主会場の国際会議場)。右の写真のように、すでに世界社会学会議のフラッグも出ている。
 RC24「環境と社会」のように、10日から、メイン会場の近くのホテルで、プレシンポを開催しているRCもある。筆者も、10日の10時15分から、「温暖化問題に関するメディア報道の国際比較」のパネルで日本チームの成果について報告した。参加者は約100人。みんな熱心に聴いてくれた。日本からも8人が参加。20時20分頃終了。RC主催のディナーが23時を過ぎても続いていた。

 開会冒頭の挨拶で、RC会長(president)の Ray Murphy は、明日からWorld Cup of Sociology が始まると挨拶、大受けだった。開会式の reception dinner は、決勝戦の開始が近いので落ち着かないものになるかもしれない。

 雑談の中でも、サッカーの話題で盛り上がる。ブラジルの研究者に「負けちゃいましたね」と挨拶したら、「アルゼンチンも負けたからね」と溜飲を下げるかのように返す。ことサッカーに関して、ブラジルとアルゼンチンのライバル意識のすごさを垣間見る。
 ドイツとウルグアイの3位決定戦を見ながら、旧知のオランダの研究者は、「今大会のベスト・チームはドイツだよ。ドイツとやりたかったな」と冷静なコメント。「日本は reasonable な成績だったじゃないか。ホンダはオランダのチームでうまくなったから、オランダでも人気だよ」。

 今年2010年もそうだが、2014年の横浜大会の開会日7月13日も、サッカーのワールドカップ(ブラジルで開催)の決勝戦当日と重なることになった。

 ワールドカップといえば、主会場の国際会議場では、右の写真のように、ハンドボールの世界大会も開かれている。主会場と隣接した Gothia Towers ホテルの中も周囲も、世界各国からの若い選手達で溢れかえっている。ハンドボールは、北欧でさかんなスポーツの一つだ。いろいろな世界大会がある。(は)
 

 
 
 

2010年7月8日木曜日

イギリスの社会学者との会話

 一昨日ロンドンに着き、昨日はロンドン大学ゴールドスミス・カレッジに研究室設定のために出向いた。ご存じのように、このカレッジは、文化研究における世界の研究拠点のひとつであろう。社会学も35人以上のファカルティを擁している。ただ、今イギリスの大学も財政的に苦しく、多方面でバジェット・カットが行われている。
 数年前教える必要はなく、研究面で貢献することを条件にこの大学に移動してきたKM教授と話した。彼もこれ以上条件が厳しくなれば、元の大学に帰ることを考えているという。財政難の上に、研究成果も含めて厳しい評価の下に置かれている。日本を発つ前に、イギリス社会学雑誌の事務責任者から、海外アドバイサリーボードメンバーの私に、一通のメールが届いた。この雑誌の評価が昨年よりもずっと良くなったとの喜びの報告メールだった。文面から喜びの感情が溢れていた。ことほど左様に、研究は財政難と厳しい評価の狭間にあるといえよう。
 そのような中、KM教授によれば、欧米以外の社会や文化に対する関心が高まっているという。この点で、2014年の世界社会学会議の横浜開催はタイムリーだと評価された。こちらから多くの分野で日本、韓国、中国、台湾など東アジア社会学の交流が盛んであることを説明すると、大きな関心を示してくれ、2014年に向けて彼の研究分野において東アジアとの交流を強化するために協力を求められた。とりわけ中国への関心は相当なものがあるように感じた。
 中国社会学会会長のリ・ペイリン教授によれば、中国においては、山積する社会問題解決のために社会学への要請が強まっているという。このような内的動向とパラレルな形で、中国社会学に対する関心はヨーロッパでも高まっているように思う。
 以上のような動向をしっかり見据えて、2014年の横浜大会は組織されてゆく必要があるだろう。もちろん、日本社会学の総括と、海外への輸出を怠ることなく。相当の頑張りが要求される。それを楽しみながらやっていくことにしたい。(sy)

アブストラクト集利用のススメ

大会のサイトには、プログラムのほか、計3032件のアブストラクト集がアップされている。
巻末の著者名索引で、日本人名と思われる名前を数えてみると、133人に及んでいる。
誰でもアクセス、ダウンロードできるし、brief subject index がついているので、大会に参加する人はもちろんだが、大会に参加できない人にとっても、最新の研究動向を把握するうえで便利だ。自分の研究関心に近い人や発表を探すことができるし、関連分野の最近の人気トピックスを把握することもできる。いろいろ試してみてほしい。君と同じ研究関心の持ち主が、世界にどれぐらいいるのか、を掴むことも、国際学会の妙味だ。
もちろんアブストラクトの書き方の見本として参考にすることもできる。
著者のemail address も付いているので、本人にコンタクトして、full paper や 発表の ppt file をメイルで送ってもらうこともできる。
面白い使い方を思いついた方やこんな風に役立てたという方は、是非本ブログにコメントとしてお寄せいただきたい。(は)

世界社会学会議のリアリティをレポートします

7月11日(日)から、4年に1度の世界社会学会議ヨーテボリ大会が開催されます。
世界社会学会議組織委員が現地から大会の模様やリアリティをレポートします。
                                (は)